日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
ICU入室患者の入室時鼻腔MRSA調査
結果とその意義
木下 澄仁田中 文顕幡手 宏匡佐藤 俊秀久木田 一朗黒瀬 満郎岡元 和文
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 2 巻 1 号 p. 3-6

詳細
抄録
平成5年1月1日から6月16日までに熊本大学ICUに入室した患者の入室時鼻腔MRSA保菌率調査を行い,対象患者83名中8名がMRSA保菌者であった(保菌率は9.6%)。同時に行った医療従事者25名では1名(4%)だけが鼻腔MRSA保菌者であった。
ICU入室後にMRSA肺炎を併発しICU入室時鼻腔細菌検査の結果をもとに早期に感受性のある抗生物質に変更し治癒に至った1例を経験し,ICU入室時鼻腔細菌検査はMRSAの早期発見,早期治療に有益であると思われた。またMRSA保菌者をゾーニングし,ガウンテクニック,手指消毒の励行等のMRSA拡散防止に努めた結果,他の患者から同じタイプのMRSAを検出することはなかった。
MRSA感染症に対し使用した抗生物質バンコマイシン(R)について,投与前と投与2時間後の血中濃度を測定し,腎機能が正常な患者でも1日1gの使用で有効血中濃度が得られることがわかった。
著者関連情報
© 日本集中治療医学会
次の記事
feedback
Top