日本集中治療医学会雑誌
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急性フェンバレレート
ジメトエート混合剤中毒の1例
中西 和雄鳴岡 由美清水 一郎萬家 俊博渡辺 敏光新井 達潤
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1996 年 3 巻 2 号 p. 103-106

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抄録
49歳,男性がフェンバレレート(ピレスロイド)-ジメトエート(有機リン)混合剤約200mlを服毒し1時間後に救急車で搬送され来院した。入院初期には意識障害,散瞳,頻脈,血圧低下,眼球結膜充血,皮膚紅潮(ピレスロイド中毒症状)を認めた。服毒6時間後から持続する筋攣縮と痙攣が出現し,12時間後には血漿コリンエステラーゼ低下,縮瞳,流誕(有機リン中毒症状)を認めた。治療として人工呼吸やアトロピン静注などの対症療法と,筋攣縮と痙攣に対する直接血液灌流を行った。経過は良好で後遺症なく第20病日に退院した。両者の混合剤ではピレスロイド中毒症状が早期に出現し,また筋攣縮と痙攣が持続することがあり,診断および治療に注意を要する。
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