日本集中治療医学会雑誌
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3 巻 , 2 号
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  • 清水 利彦, 鈴木 則宏
    1996 年 3 巻 2 号 p. 69-82
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    一酸化窒素(nitric oxide; NO)は生体内でL-アルギニンを基質として一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase; NOS)によりL-citrullineとともに酵素的に生合成される。中枢神経系でのNOの存在がNOSの免疫組織化学染色にて明らかにされてから,神経系においても今までにない新しい情報伝達物質として研究されている。これはNOが脂溶性のガスとして細胞膜を自由に越えて分布しうる可能性をもつためである。中枢神経系において,NOが関与すると考えられているものには,シナプスの可塑性,グルタミン酸受容体の活性化機構の調節,神経細胞死と神経細胞保護,脳虚血,てんかん発作および痛みなどがある。本稿では,これらの現象とNOの関係について最近の知見を加え概説した。
  • 松本 昭憲
    1996 年 3 巻 2 号 p. 83-87
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Milrinone(MLN)は新しく開発されたphosphodiesterase阻害薬で,強心薬として有効性が認められている。また,MLNは肺塞栓による肺高血圧犬モデルで肺血管拡張作用が報告されている。本研究の目的は,肺血管拡張作用を有するMLNがPaO2を低下させない機序を解明するために,オレイン酸肺水腫犬を用いて血管外肺水分量(extravascular lung water volume; EVLWV)の面から検討することである。雑種成犬12頭を用い,オレイン酸を静脈内に投与し肺水腫を作成,対照群とMLN投与群の2群に分けEVLWVを比較検討した。オレイン酸肺水腫においてMLNはEVLWVの増加を抑制した。このことがMLN投与では,肺血管拡張に伴うPaO2の低下が認められなかった機序であると結論した。
  • 鶴嶋 英夫, 青木 司, 佐藤 博明, 成島 浄, 目黒 琴生, 大橋 教良, 吉井 與志彦, 能勢 忠男
    1996 年 3 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者に合併した脳内出血の治療に関して検討した。慢性腎不全で脳内出血をきたした15症例を対象とし,これら症例に関して脳内出血発症前の日常生活動作(activity of daily living; ADL)(5段階評価)と治療後および長期経過後のADL,脳内出血発症時の意識レベル,コンピューター断層撮影法上の血腫サイズ(血腫最大径)について検討した。意識レベルがsomolenceより軽症で内科的治療施行群および意識レベルがstuporからsemicomaで外科的治療施行群はさ一般的な高血圧性脳内血腫の治療成績と同程度の成績と考えられた。また症例を非手術群と手術群とに分け,脳内出血発症前,発症後のADLを比較すると差はみられなかった。しかし発症時の意識および血腫サイズの点では手術群の方がより重症であった。このことは腎不全患者における脳内出血も適切な手術方法を選択すれば,より軽症の脳内出血に近い予後を得ることができることを示していると思われた。
  • 片山 浩, 武田 吉正, 時岡 宏明, 真部 信毅, 福島 臣啓, 平川 方久
    1996 年 3 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    神経性食思不振症から多臓器不全に陥り,合併症として肺内出血を発症した症例を経験した。止血剤および血液製剤の投与,気管支鏡を用いたアドレナリン添加生理食塩水,トロンビン添加生理食塩水の注入にもかかわらず止血が困難であったため,健側肺への血液流入を防ぐ目的でダブルルーメンチューブを用い,患側肺には20cmH2Oの高い持続気道陽圧(comtinuous positive airway pressure; CPAP)のみをかけ,非動化した。この換気方法を40時間持続したことにより完全に止血させることができ,その後出血はみられなかった。難渋する肺内出血においては,分離肺換気,高いCPAP,患側肺の非動化はベッドサイドで簡単に施行可能であり,気管支鏡的な止血術が成功しない場合には試みてよい方法である。
  • 青木 則明, 増田 卓, 相馬 一亥, 黒澤 利郎, 大和田 隆
    1996 年 3 巻 2 号 p. 99-102
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    トリクロロエタンを含む防水スプレーの吸入後,一過性の肺血流障害と右心負荷所見を呈した42歳男性例を報告する。吸入後,胸痛・呼吸困難が出現し,心電図,心臓超音波検査では右室負荷所見を呈した。胸部X線写真ではびまん性スリガラス様陰影と右下肺野のX線透過生亢進を示し,肺血流シンチグラムでは両側上葉の陰影欠損,肺動脈造影では右上葉の肺動脈に狭小化を認めた。なお,自覚症状,右心負荷所見は数日で軽快した。本症例から,防水スプレーの病態として肺血流や肺間質の障害から一過性の右心負荷を生じることが示され,さらに防水スプレー吸入後に肺高血圧症,急性肺性心を起こし重篤な中毒症状を呈する可能性が示唆された。
  • 中西 和雄, 鳴岡 由美, 清水 一郎, 萬家 俊博, 渡辺 敏光, 新井 達潤
    1996 年 3 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    49歳,男性がフェンバレレート(ピレスロイド)-ジメトエート(有機リン)混合剤約200mlを服毒し1時間後に救急車で搬送され来院した。入院初期には意識障害,散瞳,頻脈,血圧低下,眼球結膜充血,皮膚紅潮(ピレスロイド中毒症状)を認めた。服毒6時間後から持続する筋攣縮と痙攣が出現し,12時間後には血漿コリンエステラーゼ低下,縮瞳,流誕(有機リン中毒症状)を認めた。治療として人工呼吸やアトロピン静注などの対症療法と,筋攣縮と痙攣に対する直接血液灌流を行った。経過は良好で後遺症なく第20病日に退院した。両者の混合剤ではピレスロイド中毒症状が早期に出現し,また筋攣縮と痙攣が持続することがあり,診断および治療に注意を要する。
  • 河野 晋久, 松三 昌樹, 時岡 宏明, 長野 修, 岩藤 晋, 平川 方久
    1996 年 3 巻 2 号 p. 107-111
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    患者は45歳,女性。骨肉腫術後,第7回目のメソトレキセート(methotrexate;MTX)大量投与療法時にショック後急性腎不全を呈した。翌日のICU入室時血中MTX濃度は投与24時間後の危険限界値の50倍以上で重篤な副作用の発現が懸念された。経過中骨髄抑制等の副作用を認めたが,ロイコボリン(R)の大量救援投与と頻回の血液浄化法の施行により救命し得た。第3病日における血中MTX濃度が近似した際に施行された血液透析および血漿吸着のカラムクリアランスの比較では有意な差が認められなかった。本症例より,血液透析単独または血漿吸着の併用は急性腎不全を伴ったMTX中毒に対する血液浄化法として有効であると考えられた。
  • 福島 和昭, 青木 正, 笠川 準, 高橋 敬蔵
    1996 年 3 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    本邦ではICUにて人工呼吸をサポートする目的で長時間筋弛緩薬を比較的大量使用した報告は少ない。今回,われわれは,術中ならびに術後ICUでベクロニウムおよびピペクロニウムを比較的大量使用して人工呼吸を行った症例を経験したので報告する。症例1は62歳,男性,症例2は65歳,男性でいずれも食道癌根治手術をうけたが術前,術中とくに麻酔上特記すべきことはなかった。人工呼吸管理下に前者は74時間ベクロニウム287mgを,後者は144時間ピペクロニウム269mgを投与されたが,後者の場合人工呼吸器からの離脱と気管内チューブの抜管が円滑で早かったのに対し,前者は正常筋力の回復に24時間を必要とした。ピペクロニウムは長時間作用型,ベクロニウムは中間作用型であるにもかかわらず,このような相違がみられたことはベクロニウムの代謝産物3-OHベクロニウムに由来するものと推測された。長期にわたり,筋弛緩薬が大量に使用される場合には,使用中の薬物動態の追跡と動態力学把握のために,神経筋機能をモニターする必要性を強調した。
  • 島田 二郎, 川前 金幸, 田勢 長一郎, 奥秋 晟
    1996 年 3 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    The first aim of this study is to determine the relative effects on intragastric pH of administration of famotidine and pirenzeprne. The second aim is to determine the rate of bacterial growth in gastric juice at various pH values in relation to the addition of famotidine and pirenzepine.
    A group of fourteen ventilated patients, six of whom were treated with famotidine (Group F) and eight of whom with pirenzeprne (Group P), were intubated with nasogastric catheter. Gastric aspirate specimens were colleccted every morning to check pH and were cultured quantitatively and identified on admission and on daily for 1, 3, 5, 7 days.
    One hundred twenty-two measurements of gastric pH were carried out. Median pH values for the group F was significantly higher than the group P (mean pH F/P=5.63±1.91/2.72±1.51, p<0.01). Furthermore, the rate of gastric pH≥4 in Group F was significantly higer than that in Group P (F/P=81%/13%, p<0.01). Seventy gastric juice cultures revealed 43 (61%) positive cultures. Furthermore, the rate of positive culture in Group F was significantly higher than that in Group P (F/P=83%/43%, p<0.05). No patients showed, clinically macroscopically, upper GI bleeding in this study.
    In conclusion, pirenzepine is more useful than famotidine because pirenzepine provides adequate protection against stress upper GI bleeding with less overgrowth of bacteria in the stomach than famotidine.
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