日本集中治療医学会雑誌
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中枢神経と一酸化窒素
清水 利彦鈴木 則宏
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1996 年 3 巻 2 号 p. 69-82

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抄録
一酸化窒素(nitric oxide; NO)は生体内でL-アルギニンを基質として一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase; NOS)によりL-citrullineとともに酵素的に生合成される。中枢神経系でのNOの存在がNOSの免疫組織化学染色にて明らかにされてから,神経系においても今までにない新しい情報伝達物質として研究されている。これはNOが脂溶性のガスとして細胞膜を自由に越えて分布しうる可能性をもつためである。中枢神経系において,NOが関与すると考えられているものには,シナプスの可塑性,グルタミン酸受容体の活性化機構の調節,神経細胞死と神経細胞保護,脳虚血,てんかん発作および痛みなどがある。本稿では,これらの現象とNOの関係について最近の知見を加え概説した。
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