日本集中治療医学会雑誌
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急性心筋梗塞に対する再灌流療法の問題点
加勢田 直人早崎 和也本田 喬堀内 賢二松山 公三郎生野 俊治牧 明
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1997 年 4 巻 2 号 p. 105-110

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抄録
急性心筋梗塞連続1135例のうち,75歳以上の高齢者と心原性ショック合併例に対する再灌流療法の治療成績を検討し,以下の結果を得た。(1)再灌流療法群(552例)の院内死亡率は,保存療法群(583例)より低率(11.4%vs19.7%,p<0.01)であったが,高齢者では両群の院内死亡率に差はなかった(23.1%vs29.4%)。(2)心原性ショック合併例においても再灌流療法群の院内死亡率は保存療法群より低率(51.6%vs82.0%,p<0.01)であったが,高齢者の院内死亡率は58.6%と高率であった。(3)両群の院内死亡例の死因および年齢分布に差はなく,再灌流療法群における院内死亡例の59%がポンプ失調死であり,また,51%が高齢者であった。以上から,再灌流療法による院内死亡率の減少は認められるものの,高齢者および心原性ショック合併例の予後は不良であり,短期予後の改善のために解決すべき最大の問題点と思われた。
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