原発性肺高血圧症に対しアムリノンの投与が有効であった症例を経験した。症例は31歳男性で,10年前に原発性肺高血圧症と診断された。平成7年3月に喀血による低酸素血症を認めたため,呼吸管理目的にICU入室となった。入室時の体血圧112/56mmHgに対し,肺動脈圧は113/54mmHgであった。プロスタグランディンE1とドーパミンを投与したが体血圧は低下し,逆に肺動脈圧は上昇した。そのため,プロスタグランディンE1とアムリノンを投与したところ,24時間後には体血圧110/70mmHgに対し肺動脈圧75/53mmHgとなり肺酸素化能も改善した。約3日間にわたって効果は認められたが,再出血による高度の低酸素血症により後日死亡した。