日本集中治療医学会雑誌
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11年間の経過で蜂窩肺となった肺胞蛋白症の1症例
大塚 将秀羽尻 悦朗武田 康二西川 正憲長谷川 英之
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1998 年 5 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

肺胞蛋白症と診断し,11年間の間に左7回右6回の肺胞洗浄を行った症例を経験した。肺胞洗浄は,全身麻酔分肺挿管下で,量規定法で洗浄液を注入して行った。洗浄で症状は改善したが,その効果はしだいに減弱した。初診後10年目には間質陰影の増強と気腫状の変化が進行し,肺底部は蜂窩肺となった。その後,肺炎および両側気胸を併発し,初診後11年目に呼吸不全で死亡した。初診時の組織標本では肺胞隔壁は正常の構造を保っていたが,剖検時は気腫性嚢胞化と細胞浸潤を伴う間質の線維性肥厚が著明であった。経過中,PaO2はよく保たれていたが,%一酸化炭素肺拡散能(%DLCO)は症状の悪化に伴って低下した。病状の把握には%DLCOの評価が重要と考えられた。%DLCOは洗浄後数か月は改善し,その後悪化した。洗浄を繰り返す場合には,%DLCOの変化が参考になる可能性が示唆された。

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