抄録
本研究の目的は,消毒用エタノールによる三方活栓消毒法を改善することである。ICU患者の静脈ルートに接続された三方活栓(活栓)を対象とした。活栓注入口およびキャップを消毒用エタノール綿で丁寧に清拭する従来の方法(清拭群)と,噴霧器で噴射する方法(噴射群)を比較検討した。消毒は活栓操作のたびに実施した。両群とも24時間使用後,活栓注入口から綿棒拭き取り法と滅菌生食水灌流で検査用試料を採取した。対象活栓からの薬剤注入回数,輸液剤糖濃度は両群間に有意差はなかった。病原細菌は清拭群の活栓(16個)から5件(31.3%),噴射群(20個)から1件(5.0%)検出され有意差(p<0.05)を認めた。真菌はそれぞれ4件(25.0%),3件(15.0%)認めた。エタノール噴射法は,真菌芽胞には無効であるが,細菌感染の防止には優れていた。