抄録
最近,急性呼吸窮迫症候群の補助的治療法として腹臥位管理が頻用されている。本研究は,腹臥位の体位支持法が患者にとって安全かつ安楽であり,施行者にとって簡単な操作であるよう改良することを目的とした。健常成人28名を対象に,上胸郭部と腰部をロールパッドで支える支持法(従来法)と,体の両側端を縦に支える改良法を支持部に掛かる荷重(体圧)と自覚所見を指標に比較した。測定結果は肥満度で3群に分け評価した。その結果,肥満群は膝蓋部と上腸骨棘部に,やせ群は上腸骨棘部に最も荷重がかかった。しかし,肥満群の上腸骨棘の荷重は改良法では有意に軽減され,膝蓋部の荷重は下腿部にパッドを追加挿入することで軽減した。自覚的所見では,改良法は胸部圧迫感,支持部の疼痛が著明に改善されたが,不安定感の訴えがあった。以上から改良法は,やせ体型では従来法と差異はないが,肥満体型では従来法よりも優れた支持法であると結論した。