日本集中治療医学会雑誌
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6 巻 , 2 号
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  • 公文 啓二
    1999 年 6 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    低心拍出量症候群(low output syndrome, LOS)は生体内酸素需要供給バランスが破綻した状態であり,心臓血管手術患者の治療成績ならびに術後の生命の質の向上には,生体内酸素代謝に立脚した術後管理が不可欠である。酸素運搬量と酸素消費量の関係には,dependent phaseとindependent phaseがあり,その転換点がcritical oxygen deliveryである。心臓血管手術後においてはもちろんのこと,重症患者の集中治療においては患者の状態を常にこのcritical oxygen delivery以上の酸素運搬量を確保することが重要である。開心術後急性期のcritical oxygen deliveryは400ml・min-1・m-2程度であり,これを維持するための血行動態管理はCI(l・min-1・m-2)>40/CaO2(vol%)および貧血許容限界はCaO2(vol%)=40/CI(l・min-1・m-2)である。また,LOSの酸素代謝を改善する新たな治療手段としてNO吸入療法および軽度低体温療法(中枢温35℃前後)が有用である。
  • 土屋 正彦, 康 銘原, 渡海 裕文, 片岡 由紀子, 金子 朱美, 阿部 秀宏, 真鍋 雅信
    1999 年 6 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    酸素ストレスへの高い感受性を持つ蛍光蛋白質B-phycoerythrinとペルオキシラジカル(ROO・)産生源であるAAPH[2,2'-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride]から構成される活性酸素消去活性測定法を確立し,代表的なカルシウムチャネルブロッカー(ニカルジピン,ベラバミル,ジルチアゼム)とステロイド薬(ヒドロコルチゾン,メチルプレドニゾロン,ベタメタゾン,デキサメタゾン,プレドニゾロン)の活性酸素消去活性を測定評価した。測定の結果,活性酸素消去活性の指標であるB-phycoerythrinの蛍光減衰の抑制率(平均値±標準偏差)は,ニカルジピンが85.0±1.5%,ベラバミルが76.1±0.2%,ジルチアゼムが69.8±0.7%,ヒドロコルチゾンが71.5±0.9%,メチルプレドニゾロンが55.2±0.6%,ベタメタゾンが78.8±1.1%,デキサメタゾンが58.1±1.7%,プレドニゾロンが68.6±1.4%であり,いずれの薬物も強い活性酸素消去活性が認められた。カルシウムチャネルブロッカーとステロイド薬とも活性酸素傷害と関連の深い病態で使用されることを考慮すると,両薬物の薬理活性の一部は活性酸素消去活性に由来している可能性が示唆される。
  • 立石 彰男, 井上 裕二, 福本 陽平, 副島 由行, 中島 研, 山本 彩, 瀬口 雅人, 村上 不二夫
    1999 年 6 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    成人ICU入室患者100名において,APACHE II systemの予測死亡率を基準としたlifesaving score (LS)によって治療(救命)効果を,TISSに基づきICUでの処置の設備,材料,人的資源,専門性を点数化したintervention score (IS)によって医療介入度を算出し,これらの対比から医療介入度と救命効果の評価を試みた。その結果,LSは症例ごとの重症度に応じた治療効果の評価,ISは医療資源消費パターンの特徴付けに利用できると考えられた。医療介入度と救命効果のバランスが適正な疾患群として中枢神経疾患,不適正な疾患群として肝臓代謝疾患が挙げられるが,疾患群ごとの死亡予測の過大,過小評価に注意する必要がある。今回の方法を用いて,同一施設で経時的に医療介入度-救命効果評価を実施することで,診療の質の確保に応用することができると考えられる。
  • 丸山 美津子, 華山 亜弥, 前田 智美, 佐伯 麻紀, 丸川 征四郎
    1999 年 6 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    最近,急性呼吸窮迫症候群の補助的治療法として腹臥位管理が頻用されている。本研究は,腹臥位の体位支持法が患者にとって安全かつ安楽であり,施行者にとって簡単な操作であるよう改良することを目的とした。健常成人28名を対象に,上胸郭部と腰部をロールパッドで支える支持法(従来法)と,体の両側端を縦に支える改良法を支持部に掛かる荷重(体圧)と自覚所見を指標に比較した。測定結果は肥満度で3群に分け評価した。その結果,肥満群は膝蓋部と上腸骨棘部に,やせ群は上腸骨棘部に最も荷重がかかった。しかし,肥満群の上腸骨棘の荷重は改良法では有意に軽減され,膝蓋部の荷重は下腿部にパッドを追加挿入することで軽減した。自覚的所見では,改良法は胸部圧迫感,支持部の疼痛が著明に改善されたが,不安定感の訴えがあった。以上から改良法は,やせ体型では従来法と差異はないが,肥満体型では従来法よりも優れた支持法であると結論した。
  • 林 真理, 宮川 智子, 穴井 こずえ, 海塚 安郎
    1999 年 6 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    非侵襲的陽圧呼吸法(noninvasive positive pressure ventilation, NIPPV)を使用した170症例を対象に,施行中に発生した問題と実施した対策を振り返って検討した。141症例(82.9%)から381件の問題が検索できた。そのうち171件(44.9%)は看護ケアによって解決できたが,193件(50.6%)は医師の処置を必要とした。前者ではマスクなどの圧迫感・不快感(77件),口腔や鼻の損傷・乾燥(43件)が多く,後者では低SpO2(54件),不穏(34件)の頻度が高く,装置に起因する問題が17件(4.5%)発生した。後者では医師への緊急連絡と気管内挿管の準備で対応したが,53件(症例)は侵襲的陽圧呼吸法に移行した。NIPPVの看護では,患者は意識が清明で苦痛に敏感なため侵襲的陽圧呼吸法以上に患者の訴えには綿密に対処すべきであり,気管内挿管が必要な病態をできるだけ早期に,しかも的確に把握する能力が求められる。
  • 松尾 孝一, 佐藤 俊秀, 満瀬 哲郎, 橋口 清明, 増田 和之, 城 嘉孝, 尾方 信也
    1999 年 6 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Streptococcus milleri group (S. milleri group)による化膿性感染症6症例を経験した。頭頸部の膿瘍3症例,腹膜炎術後感染2症例,食道癌術後感染1症例であった。6症例とも膿汁からS. milleri groupを検出した。4症例で混合感染を認め頭頸部感染では口腔内,腹腔内感染では消化管内に常在する微好気性あるいは嫌気性細菌であった。頸部膿瘍2症例は咽頭の感染症状から3,4日のうちに著しい頸部腫脹をきたし呼吸困難を主訴に来院し直ちに気道確保を必要とした。術後感染の3例は腹壁や皮下組織に膿瘍を形成し敗血症に至った。敗血症の症例では肺,肝,腎など多臓器障害を認めた。感染対策として嫌気性菌を含む広域スペクトラムの抗菌薬を使用し積極的にドレナージを行った。S. milleri groupによる感染では膿瘍形成,急速な腫脹と周囲への感染波及,嫌気性菌を含む他の細菌の混合感染に特徴があると思われた。
  • 佐伯 仁, 宮内 善豊, 松本 聡, 森本 康裕, 岡 英男
    1999 年 6 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Epstein-Barr (EB)ウイルス関連血球貪食症候群(EBV-AHS)の6歳男児が,肝機能障害,呼吸障害と播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome, DIC)をきたしICUに入室した。交換輸血と血漿交換を計7回行い症状が改善した。化学・免疫抑制療法,抗凝固療法を行ったが,再び肝機能障害をきたし血漿交換を2回行った。一時的に軽快しICUを退室したが,発症後約4ヵ月で死亡した。全経過中,血清フェリチンと尿中β2-ミクログロブリンは高値であった。EBV-AHSはEBウイルス感染による高サイトカイン血症によって組織球が活性化され,発熱,汎血球減少,血球貪食像とともに肝機能障害,DICなどの多臓器不全をきたす。本症の治療法は確立されておらず,予後は不良である。血液浄化療法は補助療法としては有効だが,根本的な治療とはならないことが示唆された。予後の改善には各臓器に対する補助療法を行いつつ,化学療法を強力に行う必要がある。
  • 御川 安仁, 中村 貴子, 内田 寛昭, 馬場 三和, 下田 豊, 越智 辰清, 石井 史子, 若林 隆信
    1999 年 6 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    脊椎後側弯症に睡眠時呼吸障害を合併し,呼吸不全,肺性心,右心不全にまで至ったカジモド症候群(Quasimodo syndrome)2症例を経験した。症例1は40歳の女性で,気管内挿管後,圧支持換気,呼気終末陽圧により低酸素,高炭酸ガス血症,呼吸筋疲労,そして睡眠時呼吸障害への対処を行った。ICU退室後は鼻マスクによるbi-level positive airway pressure (BiPAPTM)を用い良好な結果を得た。症例2は44歳の女性で,症例1同様人工呼吸管理を始めたが,早期に抜管しBiPAPTMを用い管理し得た。睡眠時無呼吸症候群や睡眠時肺胞低換気症候群は自覚症状がないため,その存在を見逃さないことが大切と思われた。またカジモド症候群に対し,BiPAPTMによる管理の有効性が示唆された。
  • 越智 元郎, 藤田 康幸, 高田 宗明, 森 隆比古, 小川 正孝, 田中 健次
    1999 年 6 巻 2 号 p. 147
    発行日: 1999/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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