日本集中治療医学会雑誌
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中毒性表皮壊死症の感染予防に関する検討
吉本 圭一佐谷 誠安宅 一晃嶋岡 英輝佐藤 善一新藤 光郎
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1999 年 6 巻 3 号 p. 219-224

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抄録

1986年1月から1995年12月の間に,6症例の中毒性表皮壊死症(TEN)の治療を経験した。3症例において疑わしき原因薬物が認められたが,残り3症例は不明であった。全例,個室隔離を行い,空気循環式ベッドを使用した。初期の2症例はステロイドの投与を継続したが,2症例は入室時に中止した。皮膚に対する局所治療は行わなかったが,全症例,皮膚と粘膜の治癒が得られた。われわれの臓器障害スコアを用いた評価では,皮膚症状の発現から14日以後に感染によると考えられる臓器障害の悪化が2症例でみられ,そのうち1症例が緑膿菌による敗血症で死亡した。以上より,TENは自然治癒疾患であり,感染などの合併症を予防することが重要であると考えられた。また,ステロイドの使用は,臨床症状を好転させないばかりか,むしろ易感染性を招来する可能性が示唆された。

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