日本集中治療医学会雑誌
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経皮的人工心肺装置により救命し得た胎便吸引症候群の1症例
萬家 俊博津野 恭司檜垣 暢宏大塚 龍徳岡 浩信中西 和雄渡辺 敏光新井 達潤
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1999 年 6 巻 3 号 p. 215-218

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抄録

胎便吸引により重篤な呼吸不全に陥った新生児に対し,ヘパリン結合処理した膜型人工肺,遠心ポンプ,体外循環回路を用いた体外式肺補助(ECLA)を行い,救命することができた。患者は胎児切迫仮死のため緊急帝王切開で出生した男児で,在胎41週6日,出生時体重3,324gであった。高頻度振動換気法(HFO)主体の人工呼吸管理を行ったが,次第に肺機能は悪化し,出生より55時間後に右内頸静脈より脱血し,右総頸動脈へ送血する静脈-動脈バイパス方式でECLAを開始した。ヘパリンを3~15IU・kg-1・hr-1で持続投与し,全血活性凝固時間を120~160secで維持した。89時間25分でECLAから離脱した。ヘパリン結合回路を用いたことでヘパリン投与量を削減でき,術創や消化管からの出血,頭蓋内出血は認めなかった。今回用いた膜型人工肺では,血漿リークによるガス交換能の低下,特にCO2除去能低下が早期に起こることが問題点であった。

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