日本集中治療医学会雑誌
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脊椎炎と眼内炎を来した深在性真菌症の1症例
熊田 恵介仁科 雅良小林 良三福田 充宏藤井 千穂小濱 啓次三河 義弘田渕 昭雄
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2000 年 7 巻 1 号 p. 39-44

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抄録
易感染患者(compromised host)の増加とともに深在性真菌症は増加傾向にある。今回,癒着性イレウスの術後に真菌性の脊椎炎と眼内炎が明らかになった症例を経験した。患者は54歳,男性。他院で癒着性イレウスのため2度開腹術が施行された。術後約20日間,中心静脈栄養を施行していたが,高熱が続き血圧が低下したため,当科へ紹介となった。転院後,ショック状態から離脱し全身状態は安定したが,第7病日に突然腰痛が出現した。針生検によって椎間板からCandida tropicalisが検出されたため,椎間板摘出術とフルコナゾールの全身投与を行った。第55病日から右目に霧視,飛蚊症が出現し,眼底所見より真菌性眼内炎と診断され硝子体手術が行われた。近年,腹部手術後や中心静脈カテーテル留置中の深在性真菌症が問題となっているが,腰痛や眼症状を認めた場合,真菌性脊椎炎や真菌性眼内炎をも念頭におく必要がある。
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