日本集中治療医学会雑誌
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Aeromonas sobriaによる重症軟部組織感染症の1症例
成尾 浩明平部 俊哉卜部 浩俊大倉 俊之楠元 寿典井上 卓也濱川 俊朗高崎 眞弓
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2000 年 7 巻 2 号 p. 135-139

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抄録

Aeromonas sobriaによる重症軟部組織感染症例を経験した。患者は49歳の男性で,アルコール性肝障害の既往があった。にぎりずしを食べた翌日より四肢に腫脹と疼痛が現れ,2日後にはショック状態に陥った。ICU到着時,不穏状態で,体温39.8℃,脈拍116min-1,血圧は92/50mmHgであった。全身にチアノーゼを,眼球結膜に黄染を認めた。四肢は腫脹が著明で,右大腿に握雪感を伴う皮下出血斑を認めた。皮下組織よりグラム陰性桿菌を認めたので,イミペネムとミノサイクリンを投与し,エンドトキシン吸着療法を行ったが急性腎不全となり,初発症状より72時間後,ICU収容28時間後に死亡した。血液,喀痰,下肢皮下の膿の培養でAeromonas sobriaを検出した。病理解剖で肝硬変ならびに軟部組織,消化管全般に壊死を認めた。また,結腸の固有層,粘膜下層に多数のグラム陰性桿菌を認めた。Aeromonas sobriaによる軟部組織感染症は,免疫抑制状態の人や肝硬変患者では致命的になる可能性があるので注意が必要である。

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