日本集中治療医学会雑誌
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アスピリン大量服用の1治験例
薬物動態からみた血液透析の有効性について
宮市 功典氏野 博昭林下 浩士重本 達弘鍛冶 有登月岡 一馬西 信一
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2001 年 8 巻 3 号 p. 177-181

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抄録

アスピリン(アセチルサリチル酸)大量服用(330mg・kg-1)症例に対する血液透析の有効性を薬物動態学的に検討したので報告する。症例は24歳,男性。発作的にアスピリン40錠(500mg/錠)を服用し,激しい嘔吐および発熱を主訴として来院した。来院時,頻呼吸,頻脈および著明な発汗を認めた。強制利尿および尿のアルカリ化などの保存的治療に抗して,次第に腎機能や意識状態などの臨床症状が悪化した。そこでサリチル酸除去を目的に血液透析を2回施行したところ,臨床症状は著明に改善し,第9病日に軽快退院した。2回目の血液透析後の血清サリチル酸濃度(2μg・ml-1以下)は,薬物動態学的に検討した予測推定濃度(110μg・ml-1)よりも低下しており,血液透析が極めて有効であったと考えられた。したがって高用量の内服例においては血液透析が推奨できる。

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