日本集中治療医学会雑誌
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妊娠後期に全身性炎症反応症候群(SIRS)をきたした疱疹状膿痂疹の1症例
サイトカインおよび接着分子発現パターンの検討
内籐 嘉之池田 光子中村 公彦藤井 公男大郷 典子鬼頭 幸一
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2001 年 8 巻 3 号 p. 183-186

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抄録

疱疹状膿痂疹は汎発性膿疱性乾癬の亜型と考えられ,好中球の表皮組織浸潤と無菌性膿疱形成,さらに多臓器不全をきたしうる重篤な全身性炎症反応症候群(SIRS)の合併を特徴とする。妊娠後期に発症しSIRSを呈した疱疹状膿痂疹の1症例において,サイトカインおよび接着分子発現を解析しえたので報告する。症例は26歳の初産婦。妊娠31週より腹部に小膿疱を伴う類円形紅斑が出現し,同35週に膿疱,糜爛形成を伴う紅斑が全身に広がり,強度の疼痛および発熱をきたした。重篤なSIRSの全身症状が認められたため,緊急帝王切開術施行後メチルプレドニゾロン投与を開始した。皮疹および全身症状は術後速やかに改善した。本症例では,表皮組織への好中球浸潤とともに炎症性サイトカインおよび好中球遊走に関与するケモカインや接着分子の発現亢進を認め,これら遺伝子の発現誘導パターンが病態生理に関連することが示唆された。

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