日本集中治療医学会雑誌
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薬剤性中毒性表皮壊死症に対して血漿交換が奏効した1症例
岩崎 泰昌福原 耕作佐藤 斉津野 信輔前川 隆英竹吉 悟
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2002 年 9 巻 4 号 p. 389-393

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抄録
フェニトインが原因で薬剤性中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis, TEN)を発症し,ステロイド療法に反応せず,血漿交換が有効であった症例を経験したので報告する。症例は39歳,女性。上矢状静脈洞血栓症にて意識障害と痙攣が生じ,抗痙攣薬が投与された。投薬開始約17日後から浮腫状紅斑が出現し,ステロイド療法を行ったが次第に融合拡大して,表皮剥離を最大で全身の8割に伴いTENと診断した。そこでステロイド療法は中止して,1日おきに合計3回の血漿交換を行ったところ,上皮化が始まり,約10日後にはほぼ全身の上皮化が認められた。使用した4種の抗痙攣薬について薬剤添加リンパ球刺激試験を行ったところ,フェニトインが陽性と判定された。薬剤性TENの死亡率は30~40%といわれているが,病初期のステロイド投与に反応しない薬剤性TENでは,漫然とステロイド療法を続けずに早期に血漿交換を行うことが救命につながると考えられた。
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