情報通信学会誌
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論文
放送市場の多面性と規制に関する考察
―ドイツ規制制度からの示唆―
春日 教測
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2011 年 29 巻 1 号 p. 1_43-1_55

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抄録
ドイツの放送規制制度では、KEKが視聴率に基づく集中規制を行っており、同時にALMが番組内容に関する地域性・多元性・多様性の確保に配慮するなど、視聴者市場における「質」と「量」の二側面を考慮した規制が行われている。さらに連邦カルテル庁が広告市場に関する集中度規制を行うことで、視聴者市場を規制するKEKと役割分担しつつ「市場の二面性」にも配慮されており、バランスのとれた仕組みとなっている。
一方、統一的に放送市場を監督する機関がない事の弊害や市場を静態的にとらえるような対応により弊害も生じてきている。日本においてもこうした事例を参考に、産業的側面を重視する方向に転換する場合の意見多様性確保の仕組みや、放送を含むメディア市場全般の動態的市場における競争政策上の判断、更に規制当局相互の連携の仕組みについて、バランスのとれた制度設計が望まれる。
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© 2011 情報通信学会
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