情報通信学会誌
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29 巻, 1 号
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論文
  • ―日本と韓国の携帯通信サービス市場を事例として―
    全 ヨンギュンステファン, 加納 貞彦
    2011 年29 巻1 号 p. 1_1-1_17
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/05
    ジャーナル フリー
    本研究では、音声中心からデータ中心へサービスの転換期を迎えている携帯通信サービス市場の現状を検討して今後の市場を展望するために、3Gサービスが世界で最も普及している日本と韓国の携帯通信サービス市場を事例とし、ユーザー観点から携帯通信サービス知覚品質がユーザーのサービス満足と行動意図に与える影響を明らかにした。日本と韓国のサービス・ユーザーを対象にアンケート調査を行い、757人による応答をもとに共分散構造分析した結果、日本と韓国の携帯通信サービス・ユーザーは全体的に今の携帯通信サービスに高く満足していた。日本では、「データサービス・コンテンツ品質」と「モバイルデバイス品質」がユーザーのサービス満足に影響を与える主要因であった。また、「データサービス・ネットワーク品質」と「価格構造」がユーザーの行動意図に直接に影響を与える主要因であった。一方、韓国では「価格構造」と「顧客支援サービス品質」がユーザーのサービス満足の主要因であったが、サービス知覚品質が直接にユーザーの行動意図に与える影響は検証できなかった。携帯データサービスが最も普及している日本に関した本研究の結果から、今後の携帯通信サービス市場はデータサービスと、これに適したモバイルデバイス品質がユーザーのサービス満足と消費行動に最も影響を与えていくと考える。
  • ―ネットワーク中立性議論との関連に着目して―
    実積 寿也
    2011 年29 巻1 号 p. 1_19-1_28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/05
    ジャーナル フリー
    ネットワーク中立性問題は、(1)トラヒック混雑による外部不経済の発生と、(2)ボトルネック事業者による市場支配力の濫用、という二つの課題として整理すればその理論的解決策は明確であるが、それら解決策は、現実のインターネットエコシステムの中では実現困難である。本稿では、ベストエフォート環境下における実効品質に対する消費者の関心度に着目し、当該関心の欠如は、利用者の意思決定の効率性を阻み、トラヒック混雑の認識を不十分にすることを通じて、ネットワーク中立性問題の解決に困難をもたらすことを指摘した。そのうえで、2009年に実施したアンケート調査を用い、実効速度に対して関心を有する利用者を拡大すれば、トラヒック混雑問題を市場メカニズムによって改善できる余地が増大する可能性があること、さらに、FTTHの利用増大、トラヒック混雑の経験がそういった利用者層を増やす効果があることを明らかにした。
  • 海野 敦史
    2011 年29 巻1 号 p. 1_29-1_42
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/05
    ジャーナル フリー
    従来の学説においては、「放送の自由」が表現の自由の一環であることを前提としつつ、法律上の番組編集準則がなぜ表現の自由の制約として認められ得るのかが問題とされ、これに対する多様な見解が提示されてきた。しかし、(1)行為としての放送は、コンテンツの制作・編集・送信という一連のプロセスや送信に必要となる電気通信設備の設営、放送事業体の運営を不可欠の要素として行われるものであり、これらを包括する概念は「表現」ではなく「営業」(又は職業の遂行)であること、(2)番組編集準則は、コンテンツの「制作」そのものを何ら規制するものではなく、原則としてその「編集」を規制するものであるから、表現の自由に対する制約としては、表現内容の規制というよりもむしろ表現方法 (放送という方法) の規制に相当する規制であると考えられること、などにかんがみると、番組編集準則は主として営業の自由の客観的側面の保障のための積極的措置として定位されるべきであり、表現の自由との関係においては、付随的な制約と捉えることができるものと解される。このとき、営業の自由の客観的側面の保護法益は、大半の放送が事実上国民全体を相手方とする営業活動であることにかんがみ、放送を通じて一定の秩序の下における多様な情報が安定的に提供されることをその具体的な内容とするものと解され、番組編集準則がそれに適合的であると認められる限り、立法権の合理的な裁量の範囲内で設けられた措置であると考えられる。したがって、このような観点から、「放送の自由」との関係における番組編集準則の合憲性が肯定されるべきものであると考えられる。
  • ―ドイツ規制制度からの示唆―
    春日 教測
    2011 年29 巻1 号 p. 1_43-1_55
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/05
    ジャーナル フリー
    ドイツの放送規制制度では、KEKが視聴率に基づく集中規制を行っており、同時にALMが番組内容に関する地域性・多元性・多様性の確保に配慮するなど、視聴者市場における「質」と「量」の二側面を考慮した規制が行われている。さらに連邦カルテル庁が広告市場に関する集中度規制を行うことで、視聴者市場を規制するKEKと役割分担しつつ「市場の二面性」にも配慮されており、バランスのとれた仕組みとなっている。
    一方、統一的に放送市場を監督する機関がない事の弊害や市場を静態的にとらえるような対応により弊害も生じてきている。日本においてもこうした事例を参考に、産業的側面を重視する方向に転換する場合の意見多様性確保の仕組みや、放送を含むメディア市場全般の動態的市場における競争政策上の判断、更に規制当局相互の連携の仕組みについて、バランスのとれた制度設計が望まれる。
  • ―日韓大学生ユーザーの利用に関する比較―
    金 エリ, 三友 仁志
    2011 年29 巻1 号 p. 1_57-1_70
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/05
    ジャーナル フリー
    本研究は、モバイル版SNSの典型的なサービスであるモバイルツイッターの主たる利用者である大学生に焦点を当て、その利用がユーザー間の関係性と社会に与える影響の実証的分析を行うことを目的とする。対象として、モバイルインターネットが世界で最も高度に利用されている日本と韓国を選び、両国の大学生において、人間関係や社会的な影響にいかなる効果を及ぼすかを実証的に検証する。分析の結果、モバイルツイッター利用によるユーザー間のコミュニケーションの頻度数は増えたが、実質的な人間関係の変化に与える影響は限られることがわかった。また、フォロワーが多い政治家や有名人などの影響力より、良質の情報を提供するユーザーの影響力の方が大きいという結果となった。このことから、今後提供される情報の内容は、さらに詳細に細分化された専門的なものになる可能性があることが示唆される。
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