情報通信学会誌
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論説
太平洋島嶼国におけるデジタル・デバイド解消に向けての方向性
―基幹通信ネットワークの整備について―
高田 義久藤田 宜治
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2012 年 29 巻 4 号 p. 4_87-4_101

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抄録

太平洋島嶼国では、医療・教育など公共サービスが住民に十分提供されていないが、ICTを利活用することにより、散在する離島でもそれらは提供可能となり、地域の発展をもたらすことができる。しかし、地理的要因により、特にブロードバンド通信でデジタル・デバイドの解消が進んでいないことで、そのようなサービスの提供が行われている例は少ない。
太平洋島嶼国における主な通信サービスの現状は、携帯電話の普及率は向上しているが、ブロードバンドは料金が高く普及が進んでいない。ボトルネックとなっているのは基幹通信ネットワークであり、伝送容量が比較的限定され、料金が高額なものの、広範な地域をカバーできる衛星通信と、大容量ではあるが、敷設費用が高く面的なカバーが困難な海底ケーブルがある。
近年、従来のCバンドに加えて、小型省電力のKuバンド衛星通信がこの地域でも利用可能になったことから、各メディアの特徴と現地調査の分析を踏まえると、域外と限定された主要島嶼間は海底ケーブル、Cバンド衛星通信は主要島嶼間、Kuバンド衛星通信はその他の離島という南太平洋大学の遠隔教育ネットワーク構成が、この地域におけるネットワーク整備の方向性を示している。

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