情報通信学会誌
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論文
ブロードバンドの普及要因に関する実証分析
―OECD30ケ国のパネルデータによる推定―
篠原 聡兵衛明松 祐司辻 正次
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2012 年 29 巻 4 号 p. 4_73-4_85

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抄録
高速大容量の通信を可能とするブロードバンドは今や経済社会の必須なインフラとなり、その普及は先頭を切る日本や韓国のみならず米国やEU等、世界各国で重要な政策課題となっている。本稿の目的は、OECD30ケ国を対象にCATV (BB)、DSL、FTTxの3技術について、2002年から2010年のデータを用いて普及要因を明らかにすることにある。これまで、FTTxを含むブロードバンド全体に関する多国間の包括的実証研究は例がないといってよい。パネルデータ分析の結果、CATV (BB) は2000年時点での放送としての受信契約数、DSLはメタル回線のアンバンドル、FTTxは事業者の光ファイバ投資への経営意欲や光ファイバ回線のアンバンドル規制がないこと、これらが普及を促進したとの結果が得られた。さらに推定された価格弾力性から、これら3技術は互いに代替的であることが実証された。このような結果は、各国でのブロードバンド普及政策の策定に当たって重要な示唆を与えるものである。
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© 2012 情報通信学会
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