2019 年 37 巻 2 号 p. 81-92
本稿は、電子漫画作品における作品創作者の宣言する作品アイデンティティと作品需要者が形成する作品イメージとの間の距離を定量的に検討し、その差異が形成される要因と電子漫画作品の人気との関係を検討するものである。実証分析においては、電子漫画サイトにおける大規模な読者調査のデータを用いる。電子漫画作品のアイデンティティとイメージをカテゴリー化理論の観点から推定した結果、作品のアイデンティティとイメージは一致するほど消費者から好まれることが確認された。しかし、最も高い人気度は適度に不一致する際に得られると想定した仮説は支持されなかった。