情報通信学会誌
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論文
プラットフォーム事業者による流通情報の管理を通じた表現の自由の保障のあり方
―米国法上の議論を手がかりとして―
海野 敦史
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2019 年 37 巻 4 号 p. 65-75

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抄録
各種のオンライン上のプラットフォームは、コミュニケーションや情報入手等のための基盤としての役割を果たしている。しかし、その運営の主体は一般に私人たるプラットフォーム事業者であるため、それが行うアルゴリズムを用いた流通情報の管理(アルゴリズム利用情報管理)は、ただちに利用者の表現の自由を侵害するものとなるわけではない。むしろ、アルゴリズム利用情報管理自体が一種の「表現」としての性質を有しているため、その自由が一定の範囲で保障される。しかも、当該自由の行使可能範囲は、「表現」の内容が政治的に重要な意味合いを多分に有し得ることなどを踏まえれば、決して狭隘ではない。ただし、その広範な行使については、利用者の表現の自由に関する法益を著しく害し、又は当該表現に対する不当な差別的取扱いをもたらすなど、憲法規範内在的な利益の調整を要する場合を伴うことが予定されるため、当該行使の範囲が一定程度縮減される。ところが、実際には、プラットフォームの「支配者」としての決定(利用規約等)に対して利用者が服従を余儀なくされ、利用者の利益と事業者の利益とのバランスが崩れることも少なくない。したがって、アルゴリズム利用情報管理に関する基本的な指針の利用者への事前提示の確保等、立法を通じた適切な統制が期待される。
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