2009 年 77 巻 1 号 p. 99-106
本研究では,黒ボク土を用いたポット栽培試験を行い,ハクサンハタザオによる浄化技術のCd汚染黒ボク土への適用可能性を検討した.その結果は以下の通りである.(1)収穫物のCd濃度は170~750 mg・kg-1であり,ハクサンハタザオは黒ボク土においても高いCd吸収能を発現可能であることが考えられた.(2)土壌改良資材(ALC)を添加した土壌では,無添加土壌と比較して,全体のCd吸収量が少ない一方,可給態Cdは無添加土壌と同様に吸収されて減少した.(3)ポット栽培試験の測定結果を外挿して浄化所要回数を試算した結果から,ハクサンハタザオによる浄化技術は,土壌のCd濃度による適用限界が存在するものの,Cd汚染黒ボク土に対しても適用できる可能性が示唆された.ただし,今回の試算は,実際条件とは大きく異なるポット栽培試験の測定結果を外挿したものであり,試算方法の妥当性に関しては十分な検証が行われていない.このため,圃場条件下でのデータの蓄積を行い,計算に反映させていくことが重要と考えられた.