抄録
機能低下したコンクリート水路では,その機能の回復を図るために補修工法が適用され始めている.しかし,ひび割れ上に敷設された補修材料には,ひび割れ幅の変動に起因した割れが生じ,再び機能低下する可能性が高い.本研究では,そうした補修後における機能低下を防止するため,補修材料にひび割れが発生した場合においても要求性能を確保するための材料として複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(HPFRCC)に着目した.HPFRCCおよびモルタル供試体にひび割れを発生させ,透水試験を行った結果,ひび割れ分散性を有するHPFRCCからの漏水量はモルタルと比較して大きく低減することが明らかとなった.また,ひび割れ幅が小さい場合には漏水量が徐々に減少し,水密性が回復することが確認された.