抄録
本研究では,開発した水砂噴流摩耗試験機の促進倍率を明らかにし,ストックマネジメントを実現する上で必要となる摩耗の進行予測を可能にするための検討を行った.実際に供用中のコンクリート製水路から採取した健全部(気中部)および摩耗部(水中部)の供試体を用いて摩耗試験を実施し,供試体を採取した時点までの供用年数と健全部の供試体が摩耗部の供試体と同等の摩耗状況に達するまでの摩耗時間から促進倍率を求めた.その結果,本研究で対象とした各水路に対する促進倍率は,評価量に摩耗深さを用いた場合で1.05~1.72year/h,表面粗さを用いた場合で0.50~8.85year/hとなった.また,算出した促進倍率を用いて摩耗の進行予測を行った結果,摩耗深さが供用年数の経過に伴って増加し続けるのに対し,表面粗さはある程度まで摩耗が進行した後は一定の値に収束することが確認された.