ヤシ繊維を生育基盤とするヤシ法と水耕法を交互に用いた人工湿地を寒冷地の水質浄化施設に設置し,景観形成や管理上有利な形質を持つ在来種カサスゲの浄化能力に及ぼす季節の影響について,凍結期と非凍結期を比較,検証した.その結果,BODやSS,Chl-aの除去率が高く,植物プランクトンを中心とした有機汚濁物質除去に有効であったが,窒素,リンの除去は十分ではなかった.3年間の流入水と処理水について,BODの平均値は26.6mg/Lと12.2mg/L,SSの平均値は27.9mg/Lと7.5mg/Lであった.BOD除去速度の平均値は,非凍結期が2.99g/m
2/d,凍結期が1.86 g/m
2/dであった.BOD負荷速度の上昇に除去速度は追随し,非凍結期は15 g/m
2/d,凍結期は4g/m
2/d程度が限界と考えられた.除草,刈取りに要する年間維持管理延べ作業時間は,20時間程度であった.
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