新潟県中越地震も発生後5年を経過し,農業農村分野の復旧は進んだが,農業生産基盤の小規模被害の継起的発生が続いた.これは地震災害がもつ他災害と異なる特性であり,広範な地盤被害によって一定期間後にも被害が顕現しているのである.しかし,地震との関連が推測されても,因果関係が不明であることなどの理由から,災害復旧対策が実施できない.地震災害の固有性に対処するには,長期的対策の必要性が指摘されているが,被害の経年変化に関する資料が不足しており実施面での困難の要因となっている.本研究では,中越震災地区の経時的な被害特性を手作り田直し等支援事業の実態や農家アンケートの分析を通じて明らかにし,大規模地震後における長期的な復旧対策を提案した.