抄録
分散型電源の大量導入に向けて,電力系統に与える影響を抑制するため系統への逆潮流を行わないバイオガスエネルギー利用として,バイオガスを精製したバイオメタンを貯蔵・運搬し,地域の需要家にてエネルギー利用を行う方法を検討した.本研究では,乳牛1,000頭のふん尿処理規模のプラントより製造されたバイオメタンをプラントから離れた需要地においてコージェネレーションの原燃料に利用するモデルを数理計画法に基づき定式化し,その場合の温室効果ガス排出削減量を最大とする最適なプラント運転方法について試算した.その結果,プラントは熱需要に応じたガスエンジンの運転を行い,その発電以外の電力は系統から購入,不足の熱はガスボイラーにより供給する運転方法が最適解として得られた.また,この場合,1日約500Nm3のバイオメタンを地域の需要家へ供給可能と試算された.