抄録
中山間水田の耕作放棄が小流域の流出特性に及ぼす影響を検討するため,土地利用・管理状況が異なる3試験流域(耕作水田,放棄水田,森林主体各流域)を設定し,降雨・流出量の観測値から推定した流域保留量,直接流出率,ピーク流出係数を比較した.得られたピーク流出係数の最大値は耕作水田主体流域で0.24,放棄水田主体流域で0.30となった.また,湿潤時の放棄水田主体流域の直接流出率は耕作水田主体流域のそれを最大で31.4%上回った.他方,乾燥状態では耕作放棄の影響は無視しうるか,耕作水田主体流域の流出が放棄水田主体流域より高まる可能性がある.なお,放棄水田主体流域の流域保留量の低下は,同流域の低水流量が低下する可能性があることを示唆している.