抄録
本研究は,コンクリート製の農業水路にカエル類の移動経路確保工を導入した後の,個体群存続性の評価手法の開発を目的とした.ニホンアカガエルを対象に,齢構造モデルに基づく個体群動態の基本モデルおよび水路の横断を考慮した横断モデルを開発した.パラメータの値は既往の個体群動態のデータから推定し,基本モデルによるシミュレーション結果と前述の個体群動態のデータを比較してモデルの妥当性を確認した.横断モデルによるシミュレーションから,初期個体数1,000の時,40年経過後の個体群存続率95%を達成するための条件は,水路横断率100%であった.したがって,この場合には水路の横断を確実なものとする必要がある.