構造物の信頼性照査に関する国際基準と国内基準の両方が,信頼性設計法を基礎に置いた限界状態設計法を設計手法の中心に据えることを決定した.そこで本研究では,現場打ちRC開水路に対して信頼性設計法による安全性照査を行うことを将来的な目標に置いて,曲げ耐力における重要な設計変数である有効高さの標準偏差を求めるための調査と分析を実施した.RC開水路の側壁を対象としたはつり調査を実施して壁厚とかぶりの大きさを測定し,複数の壁体やバレルにおいて差異が生じているかを検討した.その結果,同じ現場でも壁体が変わると施工精度に変化がみられる事例があること,壁厚の施工精度と比べて鉄筋位置の施工精度はかなり劣ること,などが明らかになった.そして現時点における有効高さの標準偏差として,10.1mmという値を得ることができた.