抄録
農業用パイプラインは,耐用年数を超える施設が年々増加しており,老朽化が進行している.こうした施設を効率的に保全し,老朽化に伴う破損事故を未然に防止するためには,構造的な安全性を適切に評価することが必要である.しかし,現在一般的に行われている単純な断面変形の計測であるたわみ量の調査などから,構造的な安全性を正確に評価することは難しく,定量的に評価できる新たな照査手法が求められている.そこで,本研究では,曲率半径の変化を計測して,パイプの横断面に生じる曲げひずみを推定する手法を開発した.溶接鋼管を対象とした模型実験により,曲げひずみが1,000μ以上ある場合,その手法は80%以上の精度で曲げひずみを推定でき,定量的且つ簡便に曲げひずみを推定できることを明らかにした.