農業農村工学会論文集
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研究論文
山林小流域からの溶存物質の総流出負荷量推定法の評価
栗原 周平多田 明夫田中丸 治哉
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2013 年 81 巻 4 号 p. 359-368

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抄録

本論文では,面積12.82haの山林小流域を対象に,約23ヶ月の10分間隔の流量と15分間隔の水質データを用いて期間中の流域からの総流出負荷量を推定し,その確からしさについて評価した.具体的には,溶存イオンのK+,Cl-,Na+を対象とし,等間隔サンプリングと既往の負荷量算出方法を組み合わせて総流出負荷量を推定・評価した.その結果,USGS Load Estimatorの7パラメータモデルを回帰式に用い,対数変換された流出負荷量に対し最小二乗法を適用し,composite法をバイアス修正法に採用した方法が最も偏りの小さな推定量を与えた.しかし,この方法を用いても特定の項目・抽出間隔においてブートストラップ法により構成された95%信頼区間が総流出負荷量の真値を含む割合が,信頼水準より小さかった.今後はより偏りの小さいサンプリング方法と負荷量算出方法を模索する必要がある.

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© 2013 公益社団法人 農業農村工学会
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