資源節約は21世紀の世界的課題となっており, 灌漑においても効率的水利用による「節水」が求められている.本稿では, 水田灌漑において節水効果が期待されている従量制による水利費賦課方式について, 三重用水地区を対象に実態を分析し, その節水効果を検討した.結果として, 平水時は従量制によって水源(元圦)からの取水量が節水されるが, 従量制の節水効果がもっとも期待される渇水時には取水量が増加し, 従量制の節水効果は認められないことが確認された.また, 渇水時において従量制が直ちに節水効果に結びつかなかった理由として, 1)基本料金制でかつ超過取水に対する料金が安く, 水利費の徴収単位期間が1年間と長いという料金体系によること, 2)加えて本地区の場合, 補給灌漑地区であるという用水事情があることを明らかにした.