抄録
近年,農地の土壌水分や電気伝導率観測にDecagon社の5TEセンサーが広く使われており,日本の土壌に対する5TEの実用的な検量法や測定値の検証が求められている.そこで豊浦砂と岩手県内の土壌について,5TEの体積含水率θの補正法の検討と,1:5水浸出法による電気伝導率EC1:5と土壌水の電気伝導率ECpの推定値の検証を試みた.その結果,θについては5TEの出力値を数点の検量で補正できることを示した.また,EC1:5は土壌の電気伝導率ECaとの比例関係から,ECpはECaからHilhorstモデルと簡単な検量作業で推定できることを確認した.ただし,θとECpの推定精度はECpが豊浦砂で約1.0 S/m,岩大土で約0.8 S/m以上の場合に低下し,またECpはθが豊浦砂で0.2,岩大土で0.275以下の場合に推定できなかった.こうした高溶質濃度と低水分量に考慮すれば,野外観測での5TEの実用性を向上できる.