抄録
山岳域やアクセスの難しい森林地帯において積雪深を多地点で観測することを目的として, 雪温プロファイル計測による積雪深観測手法の実用的適用法について検討した.小型温度データロガー(温度ロガー)を地表面から20cm間隔に取り付けて温度変化を測定し, 各温度ロガーのデータが雪中の温度変化なのか空気中の温度変化なのかを判別することで積雪深を推定した.温度ロガーを取り付けたポールの材質, 色の違い, 支柱の有無による推定精度の違いはあまり見られなかった.2時間間隔で測定した1日12個の観測データの標準偏差が, 0.3°Cに収まっている場合は雪中, 超えている場合は空気中と判断する結果が良好であった.本手法による観測誤差は温度ロガーの設置間隔のおよそ75%であり, 従来の計測機器に比べ安価で頑健であることから多地点における積雪観測に有効である.