2016 年 84 巻 1 号 p. I_9-I_14
有効降雨の推定など表面流モデルの適用上の難点を克服する目的で, 斜面流, 河道流を扱う表面流モデルに, 浸入, くぼ地貯留, 地下水流出を組み込んだモデルを提示した.浸入強度は斜面水深に比例すると仮定し, 地下水流出は線形貯水池で定式化した.このモデルを面積が10m2~1,717km2の6流域における34洪水(ピーク比流量:0.6~18m3s-1km-2)に適用して, その再現性が良好であったことを実証した.また各流域のモデル定数の一覧も示した.このモデルでは斜面流, 河道流ともkinematic waveとしているが, 河道流をdiffusion waveとした扱いも検討し, 大流域においてもkinematic waveで近似しても良好な結果が得られることを示した.なお計算にはMacCormack差分スキームを用いた.