抄録
北陸地方では重粘土水田が広く分布し, 排水性の向上は重要な課題である.地下水位制御システム(FOEAS)は排水を制御する機能を備えているが, 疎水材や弾丸暗渠の経年劣化による排水性の低下が懸念される.本研究では新潟県燕市のFOEAS圃場において, 現場透水試験と地下水位測定によりFOEAS整備で施工された弾丸暗渠の排水性を評価した.現場透水試験から, 踏圧等により弾丸暗渠のベーシックインテークレートの低下がみられるものの, FOEAS整備の際に施工され9~11年が経過した弾丸暗渠の排水性は, 比較のために再施工した弾丸暗渠と同程度に良好であった.また, 降水時の地下水位変化から, FOEAS施工時の弾丸暗渠は, 本暗渠および再施工した弾丸暗渠と同等の排水性を維持しており, 汎用農地に求められる計画暗渠排水量の標準値を満たしていると考えられる.