農業農村工学会論文集
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研究論文
大規模災害の復旧における選択的開田の提案
有田 博之内川 義行
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2019 年 87 巻 2 号 p. I_205-I_210

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抄録

東日本大震災の広域に亘る集落の津波被害に対する災害復旧の取り組みでは, 集落の高台移転等の大規模な地域対策が行われ, 土地利用の再編が進んだ点に特徴がある.復旧関連事業は, 開発用地として広大な農地を転用した.これらは, 土地利用の空間変化としてみれば, 住居用地が津波被害の回避を目的として位置移動したに過ぎない.農地は一連の土地利用変更の中で保全・補償される必要があるが, 現状では行われていない.新規開田の抑制方針が維持されているのが主因だが, 地域全体の土地利用を管理するという視点が欠落している.本論では, 農地の資源保全および土地利用管理の観点から, 災害復旧において, 一定の条件を満たす場合に開田を認める「選択的開田」を提案する.

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© 2019 公益社団法人 農業農村工学会
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