2019 年 87 巻 2 号 p. I_227-I_237
畑地灌漑がカキの果実重量に与える影響を調べるため, 新潟県佐渡市羽茂地区のカキ圃場において, ドリップ灌漑を実施した試験区と灌漑を実施しない対照区を設け, 灌漑の有無による土壌水分量の推移や果実の品質の違いを調査した.2017年と2018年の2年間の調査の結果, 灌漑を実施することで, 出荷できない等級Sの果実が発生するリスクを減らし, L以上の等級の果実の個数割合を10%程度増加させる効果があることが確認された.また, カキの根群域が広いため, 幹から1.2 m 程度離れた地点に灌水チューブを設置しても灌漑効果が期待できることが明らかになった.さらに, カキについては畑地灌漑計画で用いられるpF3.0を生長阻害水分点とし, 主要根群域全体でpF値がこの値以下になるように灌漑することで, 干ばつ年でも安定して大きな果実が収穫できると考えられた.