圃場整備事業に伴い同じ排水路線上に近接して施工された2つの魚溜工を対象として,施工後3年間にわたり,毎年4月に堆積土砂を全て浚渫してから10月までの土砂の堆積状況を調査した.その結果,魚溜工容積に対する堆積土砂の占有率は,上流側で18~39%,下流側で11~17%であった.したがって,魚溜工を同じ水路の上下流に近接して施工することにより,上流側を土砂溜としても機能させ,下流側は水生生物の越冬場として水深を確保できる可能性が示唆された.また,供用開始後2か月の時点で魚溜工容積の23~29%が土砂で占められ,堆積土砂と法面,畦畔,圃場の土壌の粒径分布から,堆積土砂には法面や畦畔から供給された土砂が含まれると考えられた.よって,維持管理労力の軽減のためには整備直後の畦畔・法面の緑化を促し,降雨時の土壌侵食を抑制することが必要と考えられる.