諫早湾干拓地から採取した粘質土の見かけの誘電率(ε)を, 種々の水分および塩分条件下における室内排水実験によって測定した.そして, 干拓地内の5深度に水平埋設した時間領域透過法(TDT)センサを用いて, 夏季のεおよびバルク電気伝導度(σb)の経日変化を測定し, それらに基づいて体積含水率(θ), マトリックポテンシャル(ψm), 土中水の電気伝導度(σw), 浸透ポテンシャル(ψo)の計4項目を推定した.室内排水実験によって得られた知見を効果的に活用することにより, 30 cm以浅のそれらの変化の態様を明らかにすることができた.実験上の制約による誘電率に関する情報不足が原因で, 30 cm以深のθ, ψm, σw, ψoを評価することはできなかったが, 野外における粘質土中のθ, ψm, σw, ψo等の同時推定手法として, 本法は有用であると考える.
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