農業農村工学会論文集
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GISを用いた地震時の被害ため池周辺に位置する農業用ため池の堤体及び基礎地盤材料特性の検証
森 洋朝倉 紀樹一戸 栄美
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2021 年 89 巻 1 号 p. II_9-II_16

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抄録

過去の大規模地震で被害を受けた5県の農業用ため池周辺の堤体と基礎地盤の材料特性等を,ため池台帳データに基づくGISを用いて検証した.青森県と福島県でのため池の築造年代別分布から,ため池は近代化に伴う耕地開発に寄与してきた歴史的な農業水利施設構造物であることが伺えた.液状化によるため池被害が報告されている青森県と秋田県,兵庫県での被害ため池周辺での既存ため池の堤体と基礎地盤の材料組合せ別割合を定量的に検討した結果,基礎地盤材料が砂質土である場合が多く,3県では基礎地盤材料を原因とした液状化による被害の可能性を示した.また,未調査箇所が多いため池の基礎地盤と堤体が同材料であると想定した場合であっても,被害の発生可能性割合にはそれ程大きな影響が見受けられなかったことから,先ずは比較的調査が簡便な堤体材料の物性値を明らかにすることが重要であることを示した.

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© 2021 公益社団法人 農業農村工学会
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