本研究は,混住化地域において一村単位のため池管理をしている集落を事例に,持続的なため池管理に向けた方策を考究した.従来のような農家・非農家の枠組みではなく,耕作者・非耕作者に着目して長野県上田市柳沢自治会でのアンケート調査を行った.
アンケート調査結果によると,耕作者の方が多面的機能を認識しており,洪水緩和機能を重要視する傾向にあった.今後のため池管理への参加意欲も,耕作者の方が高かった.重回帰分析より,参加意欲が高い傾向としては洪水緩和機能への重要認識をもつ耕作者であることが示唆された.筆者は,自治会活動としての農業体験・交流を通じ,非農家の耕作機会を設けることを提案した.最後に,筆者は,管理活動に積極的な意思を示した女性が多数いたことから,女性が比較的参加しやすいようなため池管理体制に見直す必要性について言及した.