重金属汚染土壌でも安全に農作物を生育させるために,有機質土壌改良資材(資材)を使った重金属の作物への移行抑制(不動化)技術が注目されている.本研究では,土壌(砂丘砂または水田土)と牛ふん堆肥,鶏ふん堆肥,稲わら,さらに稲わらを1,3ヵ月腐熟させた試料の計5種類のいずれかを混合させた後,銅,カドミウム,鉛を添加したバッチ実験を実施し,各金属を化学形態別に分画し,各態の濃度を測定することで,不動化効果を比較,検討した.その結果,資材の中で牛ふん堆肥が最も高い不動化効果を有すること,腐熟度を進行させた稲わらを投与することで銅の不動化が増大することが示された.さらに,重金属の化学形態をみると,金属種間で不動化メカニズムは異なることが示された.総じて,陽イオン交換容量が高く,水溶性有機物含有量が少ない資材が不動化に有効であると示唆された.