愛知県の東部に位置する豊川用水は,水需要の変動への迅速な対応や調整池への速やかな導水を目的に開水路である幹線水路に加え管水路による併設水路が設置され現在も全線開通に向けて建設中である.また,豊川用水の東部幹線水路では上流側の受益地で申込量より多く用水を消費することにより,下流への送水量が減少し下流受益地の用水不足がしばしば発生することがあり調整池から送水するなどその対応に苦慮している.そこで本研究では豊川用水の東部幹線水路を対象とし,用水不足に対応するための効率的な配水管理と開水路と管水路の複合型水路システムの導入効果についてシミュレーションにより検討した.その結果,管水路による複合型水路システムが完成した場合は用水不足に迅速に対応可能となることが定量的に示された.