圃場面の傾斜化の地表排水効果について,不耕起栽培を組み合わせた場合にその効果が高いことは既往研究で示されているが,耕起栽培と組み合わせた評価事例は見当たらない.また,傾斜面の向きは,排水路側の辺の標高が最も低くなるように長辺長に沿って1方向に傾斜化させることが一般的であるが,運土距離が長くなるため,傾斜面の施工に時間と労力を要することや,水稲栽培時の田面高低差を考慮して,施工できる傾斜度に限界があるなどの課題があった.そこで,筆者らはGPSレベラーで短辺長に沿って2方向に傾斜化させた圃場で,平畝播種し,その地表排水効果を評価した.その結果,明渠の方が圃場面の傾斜化よりも地表排水効果に与える影響が大きかった.このため,圃場面傾斜化技術の導入には,地表排水効果の向上が期待できる耕種条件と輪作体系がマッチするかの検討が重要である.