農業農村工学会論文集
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研究報文
圃場水管理システムを用いた普通期における減水深と用水量の算出手法の検討
― 圃場と用水機場が連携した灌漑配水システムの構築に向けて ―
鈴木 翔若杉 晃介
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2023 年 91 巻 2 号 p. II_53-II_60

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抄録

圃場水管理システムは水稲作の普通期において,水位を一定の幅で管理する「一定湛水制御」を行う.一定湛水制御では,灌漑によって圃場内水位が設定水位まで上昇し,その後指定した制御レンジの分の水位が設定水位から低下するように周期的に水位が変動する.そこで,圃場水管理システムから得られる周期的に変動する水位データの変動幅を用いて減水深と用水量を算出し,実測値との比較からその算出手法や精度に関して検討した.減水深の算出値と実測値は計測時間の長さに影響を受けるが,概ね±1.5mm d-1程度の差で求められた.また,得られた減水深データから普通期における用水量を算出したところ,1日ごとの用水量では算出値と実測値に差があったが,1週間程度の期間における積算用水量は近似した.用水量の算出値と実測値の差は,灌漑するタイミングが一定ではなく日を跨ぐことが原因であった.

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© 2023 公益社団法人 農業農村工学会
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