2023 年 91 巻 2 号 p. I_185-I_192
ダム・ため池の越水保護工として,スチールメッシュで表面被覆補強あるいはかご枠補強したロックフィルの活用が期待される.越水が起きると,ロックフィル内を被圧浸透するスルーフローと天端表面を流下するオーバーフローが生じる.力学的に安定した構造体を適切に設計するには,2つのフローの水理挙動を定量化する必要がある.スルーフローに対して有限要素法を用いた非線形浸透流解析を,オーバーフローに対しては場所的に流量が変化する流れの数値積分法を適用し,フロー間の局所的な流量交換を考慮してこれらを連結した越水流れの水理解析法を開発した.室内水路に設置したロックフィル堤の越水実験により部分越水および完全越水を測定し,水理解析法による計算値と比較した.良好な対応が得られ,水理解析法の有効性が確認された.